現役教師が考える小学生のお小遣いについて
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消しゴムはんこをひたすら彫り進める小学校教師(11年目)です( ̄∀ ̄)これまで56446256556年を担任。子育ての際に「どうしたらいいんだろう?」というよく教育現場で耳にする疑問を中心にお答えします。
小学校でよく保護者の方から、
「お小遣いってあげた方がいいんですかね?」
「他のご家庭はどうされてるんでしょうか?」
とお小遣いに関する、質問をいただくことがあります。
そんなお悩みを解決する手助けとなるよう、現役教師としての観点から私見も含め、普段の子ども達や保護者の皆さんとの会話の中で得た情報を元に、「こういうご家庭が多いですよ」というアドバイスをさせていただこうと思います。
お小遣いをどうするかは意外と難しい問題であり、明確に「こうするとよい」という正解がないため、皆さんの考え方にそぐわないところもあるかと思いますが、予めご了承ください。
子どもにお小遣いをあげる意味を考える
「そもそも、お小遣いなんてあげる必要あるのでしょうか?」
「子どもに不必要にお金を持たせてもトラブルの種になるだけでは?」
と、高学年の保護者の方が懇談会でおっしゃいました。
たしかに、必要以上に大きなお金を持たせるとトラブルを招くことは多々あると思います。
実際、お小遣いが上がり数千円単位で持ち歩くようになる中学生高校生ではお金のトラブルは増えていると聞きます。
だからこそ、中学生高校生になってお金のトラブルに巻き込まれないよう、小学生のうちからお金の大切さやありがたみを学習しておく必要があると考えています。
お小遣いを渡すことで金銭感覚を教育できる
頑張って貯めて大きな買い物をしたときの喜び。無駄遣いをしたときの散財感。世の中のものの値段の感覚。さらには、以前買ったものをもう使わなくなった時のもったいなさ、見通しの甘さ。
そういったお金にまつわる様々な経験を小学生のうちに経験させておくことで、大きなお金を持つようになった時のセーフティネットを築けるのだと考えています。
もちろんご家庭によって経済状況や考え方は違いますので、「絶対にお小遣いをあげるべきだ」というわけではありません。
私はお小遣いは学校には存在しない「生きた教材」だということをお伝えしたいだけです。
他の家ではどのようにお小遣いをあげているのか?
今どきの小学生のお小遣い事情はどうなっているのでしょうか?
これまでの経験から感覚的につかめてきたものを整理してみたいと思います。
定額制 |
月に一度、一定のお小遣いを与える |
申告制 | 必要な時だけ、必要なお小遣いを与える |
報酬制 | 何か成果をあげた時にご褒美としてお小遣いを与える |
臨時収入 | 必要なものを購入した際のお釣り等をお小遣いとして与える |
それぞれのお小遣いの渡し方について、ご紹介していきます。
子どものお小遣いの渡し方で一番多い定額制
まず一番多いのが「定額制」で、高学年では6割〜7割くらいの児童があたる印象です。
もらっている金額は500円前後が多く、一部3000円程もらっているという児童にも出会ったことがあります。
「3000円ももらって何に使うん?」と聞くと「貯金してる」と言っていました。
私としては「与えすぎている」という印象です。
純粋にお小遣いという名目であれば月に500円程度が適当なのではないかと思います。
2番目に多い申告制
印象として次によく聞いたのは「申告制」です。
「お菓子を買いたいから100円ちょうだい」
「クリスマス会があるから500円ほしい」
という申告が親を通れば与えられるという必要経費型です。
この方法は保護者が財布の紐を完全に握っているという意味では無駄遣いもほとんどなく大変有効に思います。
しかし、「いらないものを買うな」と“経費が落ちず”子どもの方に不満が出るようなことは多々あるようです。笑
我が家でも試験的に実施している報酬制
高学年では少数派ですが、何か成果をあげた時にご褒美としてお小遣いをもらう「報酬制」も聞かれます。
ちなみに我が家では1年生の息子に「お風呂掃除をすれば20円」という少額から、お小遣いを今後どうしていくかの様子を見る実験をしています。
私は高学年を担当することが多く、学年が上がると内容は少し違ってきます。
何人か聞いたことがあるのは「テストで100点をとったら500円」「そろばんで3級になったら1000円」といったものです。
子どもに本を好きにさせる方法の記事でも書かせていただいていますが、結果に報酬を与えるよりも過程に報酬をあたえるほうが効果的です。
テストや通知表の成績でお小遣いをあげるよりは「本を一冊読んだら100円」「忘れ物を一ヶ月しなかったら300円」など、過程に投資した方が、かえって成績等の結果に結びつくのだと思います。
同じ「報酬制」でも、やり方次第でお金の使い方以外の効果が得られる可能性があると言えます。
お小遣い+臨時収入という渡し方もある
最後の「臨時収入」は、それだけがお小遣いだという児童とは出会ったことはありませんが、子どもの収入の一つとしてご紹介しておきます。
サッカーや野球の試合の日にお昼ご飯代として500円もらい、コンビニ等でおにぎりなど軽食で済ませ、おつりをそのままもらうという方法です。
自分のお小遣い分を増やそうと、少しでも安く済ませることに頭を使うため、「お金を使う意味」という観点では意外と効果があるかもしれませんね。
他にも臨時収入として、祖父母からのお小遣いやお年玉等あるかと思いますが、お金のやりくりを体験させる上で、差し支えない程度に適度に与えるということと、親がきちんと把握しておくことが大切だと思います。
お小遣いを与え始める時期は計算や管理ができるようになってから
お小遣いを与える時期についても、これまでの経験から整理してお伝えします。
子ども達がお小遣いをもらい始める時期として一番多いと感じたのは、小学校の中学年(3年〜4年生)ごろからのようです。
算数科の授業内容としても、かけ算やあまりのあるわり算を学習し、発展問題等で定着しているタイミングですので、お金のやりくりを体験し始める時期としては適切だと私は思います。
お小遣い帳に収支を記録しているという子どもも過去にいました。
私自身も小学校高学年の時にお小遣い帳をつけていましたが、無駄遣いがなくなり、どんどん貯金が貯まっていくという経験をしたことがあります。
お小遣い帳にまめに記録させるという経験は、お金のやりくりという家庭学習においてとても教育効果が高いと思います。
ちなみに最近では「タブレットでお小遣いを管理している」という猛者まで現れています(笑)
お年玉ってどうしてる?
少しお小遣いとは別の話になりますが、お正月に親族などからいただく「お年玉」はみなさんどのようにされていますか?
私は毎年3学期はじめには、子ども達に「お年玉もらったかー??」と切り出してお金の話をします。
「お年玉はそもそもはお餅だったんだよ」とか「お年玉をくれた人が働いて得たお金を、正月のお祝いに頂いている。自分の自由なお金だと考えるのは違うと思うよ。」など、正月から面倒くさい説教をしています(笑)
小学生のお年玉の使い方
さて、そんなお年玉ですが、今の小学生はどのように使われているのでしょうか。
1位は「全額貯金」です。
これは私の教員としての10年以上の間、子ども達から一番多く上がった使い道です。
「親に渡す。その後お金がどうなっているのかわからない。」「親が貯金してくれているけど、いくら貯まっているのかはわからない。」という子どもが半数はいました。
進学等で将来必要になってくるお金を学資保険のように貯金しておくという考え方のお家が多いのだと思います。
お年玉で普段買えないものを一つだけ買って残りは貯金する
似たもので「一部(5000円程)だけ自由に使えて、残りは貯金」というのもよく聞きます。
お年玉はいわば家計にはノーリスクのお金のやりくりを学ぶ機会だということで、やはり一部は使わせてみるといったご家庭も多いのだと感じました。
「全額自由に使える」という子もいましたが、その子も一部は欲しいものを買って、残りは自分で貯金していると言っていました。
やはり子どもにとっても大きな額であるという意識が強いため、「貯金」という発想が出てくるのは自然なのかもしれません。
お年玉の使い道に正解はありませんが、お金について話し合う機会の一つにすべきだと思います。
「貯金」も「使う」も、どちらをとっても将来のための投資でなければならないと私は考えます。
それが貯金という金銭投資なのか、使わせて学ばせるという教育投資なのか、しっかりと親が考え方を共有していること、お子さんを納得させられていることが肝心なのです。
お小遣いを渡す前に話し合いお金の教育をする機会にする
これまでのお小遣いの話をまとめると、
- お小遣いはだいたい3年生くらいから与え始める家庭が多い
- 金額は高学年で月に500円程度が相場
- お小遣い帳などで管理させると効果的
- お年玉の使途は親子で納得いくように話し合うべき
といったところでしょうか。
ちなみに私自身は小学校3年生の頃からお小遣いを定額制でもらっていたような記憶があります。
- 3年生は300円
- 4年生は400円
と学年に応じた金額で、
中学からは1000円、2000円と上がり、高校では3年間5000円もらっていました。
欲しいもののために使うのを我慢した経験、せっかく買ったものを無駄にした経験、少しでも安いものを求めて遠くのお店まで自転車を走らせた経験。
お小遣いを通して様々な経験を得られたことは間違いありません。
各家庭の経済状況やお子さんの性格等を照らし合わせて、「お小遣いどうする?」という話し合いを一度持たれてみてはいかがでしょうか?
学校では教えられることがほとんどないお金の教育をする機会こそがお小遣いなのです。
教育としての費用対効果を考えると、月数百円は格安だと思いますよ。
残念ながらこうすべきだという正解はありませんが、「うちはこうする」というルール作りの参考にしていただければ幸いです。
お小遣いを渡すことでしっかりとした金銭感覚を身に着ける
小学生のお小遣いについてお話しさせていただきましたが、いかがだったでしょうか?
たかがお小遣いですが、されどお小遣いです。
将来、お子さんが金銭トラブルに巻き込まれるリスクを少しでも減らすため、しっかりとした金銭感覚を持たせるということは必要不可欠だと思います。
日本はこれからどんどんキャッシュレス化が進み、お金が見えなくなっていきます。
皆さんも「キャッシュレスだと、お金を使い過ぎそうで怖い」という感覚はありませんか?
そんな今だからこそ子ども達にお金について、その大切さや賢い使い方について学ばせる必要があるのだと私は思います。
ちなみに、私の今受け持った6年生で「お小遣いはスマホに毎月チャージされる」というキャッシュレスお小遣いだという子どもがいました。
お小遣いの形も進化しているのだなと痛感しました(笑)
今回の記事が、ご家庭でお小遣いについて話し合われるきっかけとなることを願っています。
そして、これからの時代を生きる子ども達に「正しい金銭感覚」が身につくことを、また「仕事をしてお金を稼ぐことの苦労や意義」について考える機会となることを心から願っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。