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小学校の現場で実感した読書の3つの効果と子どもを本好きにさせる方法

Writer Profile
ワタセショー
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消しゴムはんこをひたすら彫り進める小学校教師(11年目)です( ̄∀ ̄)これまで56446256556年を担任。子育ての際に「どうしたらいいんだろう?」というよく教育現場で耳にする疑問を中心にお答えします。

「読書をしなさい」「本を読むことは大切だ」等、誰もが一度言われたことがあるのではないでしょうか?

実際、全国のほとんどの小学校で「朝の読書タイム」や「読書週間」など、子ども達に読書の習慣をつけるための取り組みが行われています。

私も担当する学級では毎年必ず「読書5,000ページへの旅」に取り組ませ、学級全体で読書量が上がるよう、様々な策を講じています。

では、どうして読書をする必要があるのでしょうか?また、漫画や図鑑でも読んでいれば何でもいいのでしょうか?

今回は、そういった疑問にお答えしつつ、お子さんが本を読めるようになるためにどうすればいいのか、あの手この手を一緒に考えていければと思います。

読書は手軽に色々なものに出会い考えることができるため、脳や心が鍛えられる

読書 効果

「読書は賢い子がする」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかも知れませんが、それはまったく逆だと私は考えています。「読書をすれば賢くなる」と言っても過言ではないと思います。

読書の最大のメリットは「新しい言葉や知識、考え方と出会える」ということです。

「本を読むよりうちは色々な所へ行って体験させたい」と考えるご家庭もあるでしょう。

もちろんその方法も大切し、毎週できるのであれば、読書よりも素晴らしいと思います。

しかし、それは経済的にも物理的にも難しいという家庭がほとんどでしょう。そこで、手軽に色々なものに出会え、考えさせることができるツールが「読書」だと私は考えます。

本を読むことで、知らない言葉と出会います。前後から「たぶんこういう事だろう」と推論することもできます。また、高学年になれば、「なぜだろう?」と調べるきっかけにもなりますね。

遊びやスポーツを通して、身体が様々な面で鍛えられるのと同様、本を読むことで脳や心が鍛えられるのです。

子どもに読書を続けさせて実感した3つの読書の効果

読書の必要性は述べさせていただきましたが、実際に読書が習慣づけられると具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

私は現役小学校先生なのですが、小学生に対して数年前から学級で「読書5000ページへの旅」という取り組みを行っています。

これは自分が読んだ本のページ数をワークシートに蓄積し、教室にも進捗状況が一覧で掲示され、全員が5000ページの読書量を目指すというものです。

5000ページを達成した子どもには、特製の消しゴムはんこをプレゼントしており、モチベーションを継続させてます。

この活動を行った結果、明らかにわかる3つの変化が子ども達ににあらわれました。そちらをご紹介します。

誤回答が減りテストの点数が上がった

驚くべきことなのですが、読書を続けてテストの点数がどんどん上がって行きました。

最初の年は二学期からこの取り組みを始めたのですが、数ヶ月ほどで明らかな変化が現れました。

読書を続けた結果「算数のテストの平均点が8ポイントも上がった」ということです。

これには本当に驚きました。国語の点数ではなく、算数の点数が上がったのです。

算数の点数が上がった要因は、以下のことが考えられます。

子ども達はこれまで算数の問題文を読まずに“何となく”答えていたのが、読書が習慣づけられたことにより「文字を読むことに慣れた」のです。

問題文を最後まできちんと読めるようになったことで、誤答数が著しく減り、算数の成績に現れました。

さらに、読書を続けたその年の2学期の算数テストの学級平均は90点を越えました。

読書の習慣により国語の成績が上がる子は最初は少なかったのですが、「しっかり問題文を読む」という習慣につながっている児童はじわじわと実力を伸ばしてきたような印象です。

語彙が増加して人の話を聞けるようになる

子どもの成長には親や教師など大人とのコミュニケーションが不可欠です。

大人と会話をする中で、子どもが「今の言葉どういう意味?」と直接聞いてくれるのであればいいのですが、大抵の場合、子どもは意味がわからないまま流すという状況になりがちです。

聞き流す機会が増えれば増えるほど、集中して人の話を聞くことができにくくなり、学校の授業や、親のお説教も耳に入らなくなることも考えられます。

もちろん、わかりやすく噛み砕いて話すことが大人には求められるのですが、読書を習慣づけられている子は、語彙の増加により、わからない部分を前後から推測する力もつき「人の話を聞ける子」に育つのではないかと考えています。

想像力が伸びてトラブル回避の要因になる

これは、わたしの淡い期待も込めていますがw読書はトラブル回避の要因にもなります。

これは読書をしたからといって一朝一夕に身につくようなものではないのかもしれませんが、今の子ども達に最も必要な力だと思います。

ゲームやスマホだけのせいにするつもりはありませんが、想像力の低い子はトラブルの原因になることが多いように感じます。

子どもの友達トラブルを家庭で見抜く方法と起こった時の対策方法でも記載しましたが、相手の気持ちを想像する、これをしたらどうなるのかを想像する、といったことができていればトラブルにならなかっただろうな、ということが学校現場では頻発しています。

読書をしたからといってすぐにトラブルが減るということはないと思いますが、読書を進める中で、物語文であれば登場人物の気持ちや話の展開を想像することも習慣づけられ、子ども達が安心して学校に通うための一端を担うことができるのではないかと、淡い期待を寄せています。

子どもを本好きにさせるための方法は、本屋に行き毎月3冊本を選ばせてあげること

読書の大切さはわかったけど「うちの子に限って本を読めるようになるとは思えない!」という親御さんはたくさんいるのではないでしょうか。

これまで挙げたことは全て理想論で、そもそも本を読めるようにするにはどうすればいいのかわからないという方が大半なのだと思います。

ここでは、子ども達を読書の世界へ誘うあの手この手を一緒に考えていきたいと思います。

私は10年間小学校の教師をやってきて「小学校低学年期は学習塾等に通わすお金があればすべて本を買うのに使う方がよい」と考えています。

では、どういう風に本を買えばいいのか?毎月3冊本屋で下記のように買ってみてください。

  1. 子どもが読みたい本(漫画や図鑑も可)
  2. 親が読ませてみたい本
  3. 親子で楽しめそうな本(折り紙や理科の実験のようなものもいいかもしれません)

3冊を買っても、塾の月謝よりはかなりお得だと思います。

ここでの約束事は1つ。必ず3冊とも読み切ることです。

3冊読みきったら、好きな漫画本をご褒美に買ってあげても、お小遣いをあげてもいいと思います。

「ご褒美で釣るのはどうなんだ?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、大人だって働けば対価を求めるのですから、子どもが頑張ったらご褒美をあげるのは当然だと思います。

この毎月上記の3冊を買いに行くという方法は、私が過去に担任した子ども(五年生でしたが)で、保護者の方に提案をし半年ほどで読書が好きになったという実例もあります。

自分の子どもも年長ですので、来年試してみる予定です。

「いや、そもそも我が子は本に興味ないんです!」という親御さんもいらっしゃいますよね。

ではお子さんは何に興味を持っているのでしょうか?ゲームやアニメ、カードやユーチューブなどが多いのかもしれませんね。

これらのコンテンツはなぜ子どもの興味を引くのでしょう。子ども達は「想像すること、考えることをめんどくさいと感じている」と私は考えます。

3冊のうち①はゲームの攻略本や多少の過激なシーンがある漫画、付録のおもちゃがメインじゃないかと思えるような本でもいいと思います。

②の本は子どものレベルを考えながら、本を選んであげましょう。

子どもの興味を本屋へ向ける舵取りを大人がしてあげて、子どもが本を好きになるきっかけを作ってあげましょう。

図鑑や漫画は本を好きになるきっかけとして使えるが読書とはいえない

知識や価値観を学ぶという点なら図鑑や漫画、絵本などでもいいのではないか?と思われる方もいるでしょう。

たしかに知識や価値観を得られる図鑑や漫画もありますし、否定する気はまったくありません。しかし、「読書」という活動においては含めることはできません。

それは、読書において「想像力を働かせる」という活動は常に必要だからです。

今の子ども達は、想像力を働かせる機会を著しく損なってしまっているため、漫画や図鑑ではなく、文字だけの本をよみ、想像力を働かせる機会を作ってあげましょう。

多少の挿絵があるものはいいと思います。挿絵は想像の手助けをしてくれる「補助輪」のようなものなので、小学生のうちはむしろ必要だと思います。

図鑑や漫画、絵本ではこの「想像力」を養うという意味では、「読書」に入れられないということをおわかりいただけましたでしょうか?

読書感想文が苦手な子どもが訓練する方法

小学校の夏休みで子ども達は宿題に追われますが、その中でも特に苦労することが多いのが読書感想文の宿題です。

私が担当している学級では毎年読書感想文の書き方を指導するのですが、それでも読書感想文には苦手意識が高い子がいます。

子どもが読書感想文が苦手な理由は

  • ふだん本を読まない
  • 作文を書くのが苦手
  • 本の内容をまとめる(要約する)のが苦手
  • 感想を持つ経験不足

など、様々考えられます。

これらは本が好きならば全く問題なく解決出来るのですが、日頃の訓練が大切です。

では、どうすればいいのか?

読書感想文が苦手な子どもへの対策方法は、先ほどご紹介した「毎月3冊本を買う方法」に「読み終わったら、どんな本だったのかを説明させる」ということをやってみましょう。

最初は登場人物が何をしてどうなったのか程度で十分ですが、慣れてくると自分から感想めいたことも言い出すようになると思います。

親が「そこでどう思った?」など質問してみてもいいかもしれませんが、あまり過度だとモチベーションが下がります。興味を持って聞いてあげてください。

「読書感想文の書き方」等の参考書は存在しますが、その本を読むこと自体がはっきり言って負担です笑

日頃の訓練で、ムダな時間とお金を使わず、ついでに読書感想文以外の面でも役に立つ能力を身につけられるので一石三鳥なお話だと思います。

子どもを本好きにさせるためには家庭でのアプローチが必要不可欠

読書ができるようになると、様々なメリットがあること、またそのための方法を一緒に考えてきました。

子どもに「読書は大切、読書をしなさい」と本を買い与えるだけでは、習慣として身についていかないということもお分かりいただけたかと思います。

「立つ」「歩く」「話す」等の本能的な学習と違い、「読書」は自然にできるようになるものではないのです。

読書というスキルをお子さんにつけさせたいのであれば、ご家庭でのアプローチは必要不可欠なのだと思います。

今回書かせていただいた「読書のメリット」はあくまで実例に基づく一例でしかなく、読書にはまだまだ子どもを伸ばす可能性があります。

そして、私がどんな話をさせていただく時も必ずお伝えさせていただいているのは「親子間でのコミュニケーションの大切さ」です。

ぜひ、読書もコミュニケーションツールの一つとしてご活用いただき、お子さんと良い関係を築いてくだされば嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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