レシピの前に基礎知識!子どもが風邪に摂取すべき栄養素と注意ポイント

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保育園で勤務する管理栄養士です。主な投稿は、保育園での給食や気になる食のこと。スポーツ栄養は仕事じゃないけど、興味のある分野です。 #保育園栄養士 #管理栄養士 #調理師 #幼児食 #離乳食 #スポーツ栄養

子どもが「ぼーっ」としているので熱を測ったら39度もある!ママやパパならこんな経験することも多いですよね。

  • 冷えピタを貼る
  • アイスノンをタオルに包んで脇・首の後ろ・お股を冷やす
  • 咳が出ていれば濡れタオルなどで加湿をしてあげる
  • マスクをつけてあげる

家ですぐにできることとすればこれくらいでしょうか?

翌日病院へいき、薬をもらうと思いますが、食事で元気になってもらうのも重要です。

そこで、管理栄養士の観点からこどもが風邪を引いた時につくるレシピをご紹介します。

レシピを紹介しているサイトはいろいろありますが、子どもが食べやすくて、親も作りやすいというメニューを3つご紹介しますので参考にしてみてください。

食事の前にこまめに水分補給

子どもが風邪にかかり発熱や下痢の症状があると、体内の水分がたくさん失われるため、脱水症状になりやすくなります。

そのため、普段よりも意識して、水分補給をしましょう。

水を飲ます際の注意点もあるので、確認してから飲ますようにしてください。

風邪の時は、こまめに水を飲ませる

一度に大量に飲ますのではなく、こまめに少しずつ飲ませます。

この時飲むのは、普段飲んでいる水やお茶、母乳やミルクで大丈夫です。

飲みやすいものを用意してあげてください。

風邪の時に大人用スポーツドリンクを飲ませる際は薄めて飲ませる

脱水症状がひどければ、カリウムやナトリウムなどの電解質を補うため、イオン飲料水を飲ますことも考えましょう。

ただここで注意点。

子ども用のイオン飲料水が売っていますのでそちらを利用すべきですが、大人が飲むスポーツドリンクしか家になかった場合は、注意が必要です。

スポーツドリンクは糖分が高いため、2-3倍に薄めて飲みましょう。

水分補給をスポーツドリンクに頼るのではなく、電解質を補う役割と考えてください。

もし、嘔吐や下痢を繰り返し、水分が飲めず、水さえも戻してしまうことがあれば、早めに病院に受診しましょう。

風邪の時に子どもが食べやすい食べ物

風邪で高熱の場合、消化器官が弱っているので、消化器官に負担をかけないことが重要です。

消化がよく、やわらかい下記3つの食べ物がおススメです。

おかゆ

やわらかく炊いたご飯は、消化しやすくお腹に負担がかかりません。

白がゆにあきてしまった場合は、卵がゆや後述する野菜スープを使うと味付けに変化が出るので食べやすくなります。

野菜スープ

南瓜、大根、人参、じゃが芋など消化のよい野菜を柔らかく煮てスープにしましょう。

野菜のミネラルが溶け出たスープは、赤ちゃんの水分補給にもおすすめです。

うどん

くたくたに煮たうどんは喉にも通りやすく、食べやすいです。

冷凍うどんを使う場合は、歯ごたえがありますので、しっかり煮込んであげてください。


発熱時は体の中でウイルスと闘うために多くのエネルギーを使っています。

食べ物の消化にもエネルギーを使うため、発熱時は無理に食べる必要はありません。水をこまめに与えながら、食欲が出れば少しづつ食事を開始してください。

風邪の時には、ビタミンB,C,Eを含む食材を意識してあげる

食欲が出始めれば、ビタミンB群やビタミンC、ビタミンEを含む食材を摂取しましょう。適切な栄養を摂ることで、体を回復させましょう。

おすすめは果物です。ビタミン類が多く含む他、冷たくてのど越しがよく食べやすい食材でもあるからです。

バナナやりんご、ミカンの缶詰などは普段から家庭に常備できるので風邪の時は重宝します。季節があえば、いちごやキウイフルーツなどもビタミンCが多く含まれるのでおすすめです。

消化がよく、やわらかい食べ物がおすすめという点は変わりありません。南瓜やじゃが芋を煮物にしたり、みそ汁に入れて食べることで、水分も一緒に補給できます。

それでは、ビタミンB,C,Eをどれくらいの量摂取するべきか?と、栄養素が多く含まれている食材をご紹介します。

疲労回復を促すビタミンB1の摂取目安量と多く含んだ食材

男の子と女の子で摂取すべき量が違うため、それぞれ記載致します。

男の子のビタミンB摂取目安量

1-2歳 0.6mg/日
3-5歳 0.8mg/日
6-7歳 0.9mg/日
8-9歳 1.1mg/日
10-11歳 1.4mg/日

女の子のビタミンB摂取目安量

1-2歳 0.5mg/日
3-5歳 0.8mg/日
6-7歳 0.9mg/日
8-9歳 1.0mg/日
10-11歳 1.3mg/日

ビタミンBを多く含んだ食材

  1. 豚ヒレ肉 赤身 1.32mg
  2. 豚もも肉 赤身 1.01mg
  3. 豚ロース肉 赤身 0.96mg
  4. ごま 乾 0.95mg
  5. あおのり 0.92mg

お肉は風邪の時は食べにくいと思うので、病み上がりのタイミングがよいでしょう。

うどんやおかゆにごまやあおのりをふりかけてあげるようにしてあげてください。

ビタミンCの摂取目安量と多く含んだ食材

ビタミンCは、男の子も女の子も摂取量に差異はありません。

風邪の時のビタミンC摂取目安量

1-2歳 35mg/日
3-5歳 40mg/日
6-7歳 55mg/日
8-9歳 60mg/日
10-11歳 75mg/日

ビタミンCを多く含んだ食材

  1. アセロラ果実(生) 1700mg
  2. 赤ピーマン 170mg
  3. 芽キャベツ 160mg
  4. 黄ピーマン 150mg
  5. キウイフルーツ 黄肉腫 140mg

ビタミンCは果物や野菜に多く含まれています。

上記以外に、いちごやみかんでもOKです。風邪の時は子どもが好きな果物を用意してあげてください。

ビタミンEの摂取目安量と多く含んだ食材

ビタミンEも、男の子も女の子も摂取量に差異はありません。

風邪の時のビタミンE摂取目安量

1-2歳 3.5mg/日
3-5歳 4.5mg/日
6-7歳 5mg/日
8-9歳 5.5mg/日
10-11歳 5.5mg/日

ビタミンEを多く含んだ食材

  1. ひまわり油 38.7mg
  2. アーモンド 30.3mg
  3. 小麦はいが 28.3mg
  4. らっかせい 10.6mg
  5. まぐろ缶詰 8.3mg

ビタミンEは普段の食べ物に入れにくい食材が多いですね。

西洋かぼちゃ、魚介類などにも多く入っているので、野菜スープを作る時に入れてみてはいかがでしょうか?

ビタミン以外には柔らかい食べ物でたんぱく質も意識して摂取しましょう

ビタミン以外にも、たんぱく質も傷ついた体を修復してくれます。

お肉や青魚は脂を多く含み、風邪の時は向いていません。

豆腐や白身魚、卵を使った料理がおすすめです。これらは、どれも柔らかく食べやすいので、うれしいですね。

風邪の時に作りやすくて子どもがよく食べる3つのレシピ紹介

ここからは、子どもが風邪の時にも食べやすくて、親も作りやすいレシピを3つご紹介します。

レンジで卵がゆ

定番中の定番ですが、子どもの面倒を見ながら、お鍋を火にかけて、、、というのは中々大変ですよね。そんな時はレンジを使いましょう。

材料

  • ごはん・・・お茶碗軽く1杯(食べれる量でOK)
  • お湯・・・ごはんが浸るくらい
  • 卵・・・1個
  • 塩・・・少々

調理方法

  1. お茶碗やレンジ対応食器にご飯を盛ります。後で、ご飯と卵を混ぜますので少し大きめがおすすめ。お湯をご飯が浸るくらいまでかけます。
  2. そこに卵を割り入れて塩を少々かけます。卵をほぐしますが、下のご飯とは一緒に混ぜません。
  3. 軽くラップをして、レンジ500Wで1分。取り出して、全体を軽くかき混ぜて、もう一度レンジ500Wで1分。
  4. アツアツで出来上がりますので、冷ましてからたべさせてあげて下さい。

卵にしっかり火が入るように加熱時間を調節してください。量が少なければ、短くてもOKですよ。

オレンジスムージー

手軽にビタミン補給になり、風邪の時でも喜んで飲んでくれますよ。

ミキサーをあまり使わない人からすると、手間に思えるかもしれませんが、材料を用意するだけでOKなのでとっても簡単ですよ。

材料

  • オレンジ・・・2個
  • りんご・・・1/2個
  • 人参・・・1/4個
  • 水・・・100㏄
  • 氷・・・5個

調理方法

  1. 材料はすべて皮をむき、ざく切りに。
  2. ミキサーに入れ、滑らかになるまで回します。

分量は作りやすい量です。子どもが飲み切らない場合は、家族でシェアして、一緒に風邪予防しましょう。

バナナとみかん、りんごでミックスジュースなど、子どもの好きな果物でもOKです。

さっぱりとした味なので、少し砂糖を入れて甘味をつけても飲みやすくなります。

かぼちゃのスープ

ビタミンEも摂れる栄養満点のかぼちゃを使ったスープです。

材料

  • かぼちゃ・・・1/4個
  • 玉葱・・・1/2個
  • 水・・・350ml
  • コンソメ・・・1個
  • 砂糖・・・小さじ1
  • 牛乳・・・300ml

調理方法

  1. 南瓜は種とわたを取り、皮をむきます。適当な大きさにきりましょう。
  2. 玉葱は皮をむき、薄切りにします。
  3. 鍋に①と水を入れ、火にかけます。柔らかくなるまで煮込みます。(15-20分)
  4. コンソメ、砂糖を入れ、味付けし、柔らかくなれば、火をとめ、ブレンダーで滑らかにします。マッシャーやミキサーでもOKです。
  5. 牛乳を加え、弱火にかけてよく混ぜ合わせたら完成です。

油分を少なくするため、ポタージュによくある「野菜をバターで炒めてから煮込む」という工程を省きました。

出来上がってから、子どもの分を取り分け、家族の分には溶かしたバターを少し加えるとうまみアップでおいしくいただけます。

冷凍もできるので、緊急に備えて常備してもいいですね。

風邪が流行する季節には作り置きしておき予防目的で飲んでもよいですね。

風邪のときに子どもがご飯を食べない時の一工夫

どれだけ栄養満点の食事を用意しても食べてくれないと意味がありません。

消化が良い、やわらかいという意味での食べやすいとは違う、風邪の時でも子どもが食べられる「本当に食べやすい食事」を見つけ出すことも重要です。

これまで読んでいただいた知識を基に、わが子が風邪をひいた時、食べやすい食事は何か?ということを考えましょう。

おかゆが苦手な場合

消化のよいメニューで必ず思いつきますが、意外とおかゆが苦手な子はいます。

そんな時は、おにぎりにしてみましょう。子ども達はおにぎり好きですよね。

ふりかけをかけてあげてもいいですね。消化の事を考えると、海苔巻きおにぎりはNGです。玄米や雑穀もやめておきましょう。

食べやすさを意識しすぎて食べない場合

柔らかすぎるうどんが苦手、薄味を心掛けるあまり薄すぎて味がしないと食べない…など、先述した内容を意識した結果食べなくなる場合もあります。

まずは、子どもが食べることを最優先に考えましょう。

少し手間ですが、うどんは茹でているタイミングで食べられそうか子どもに確認したり、薄めに作って子どもが食べないようであれば少しづつ味を足してあげるなどの対策をしてみてもよいでしょう。

何が食べたいのか食べられないのかわからない

子ども達もしんどい時は、ぐずついたり、泣くだけでどうしたらいいのかわからない時もありますよね。

そんな時は、普段の食生活を思い出してみましょう。

皆さんの子どもはアイスクリーム、プリン、ゼリーどれが好きですか?

「熱がある時はアイスクリーム」と親が決め込んで与えても食べないかもしれません。

うちの子が好きなのはプリンだった!と気づくことができれば悩みも解決できるかもしれませんよ。

食べ慣れている食材を基に今必要な食べ物を考えてあげましょう。

風邪の時に避けたほうが良い食材や調理の際の3つの注意点

もちろん、子どもが本当に食べやすいものということは最重要ですが、気をつけるべき食べ物もあります。

ママパパは調整が難しいと思いますが、これらも意識しておくことをオススメします。

消化が悪いものはNG

消化が悪いものは控えた方がよいです。例えば下記のようなものですね。

  • 油分の多い揚げ物
  • 塩分の多いもの
  • 味付けの濃いもの

胃腸に負担がかかり、嘔吐や下痢の原因にもなります。

甘くて食べれそうと思ってもケーキやパイなどのスイーツ類は、油分・糖分共に多く含まれているため、食べてはいけません。

食物繊維が多いものもNG

食物繊維が多い食材も消化がよくないため、葉物野菜や根菜類は控えましょう。

栄養はたっぷり含まれているので、体調が戻ってきたら、しっかりと食べて下さい。

れんこんや大根はのどの痛みを抑えたり、せきなどにもよいですので、そのままではなくすりおろして、スープに入れたり、おかゆに混ぜたりするのもよいでしょう。

調理をする際の注意点

生野菜は控えておく

野菜を食べる場合は、生野菜のサラダよりも、煮浸しや煮物が食べやすくてオススメです。

魚や肉を炒めるのは控える

魚や肉も揚げたり、油たっぷりで炒めるのではなく、煮物や、油をあまり使わない蒸し焼きや、オーブンを使った調理方法を活用すると食べやすくなります。

まとめ

いかがでしたか?

「医食同源」という考え方があるように、バランスの取れた食事が病気を予防し、治療にも繋がります。

風邪をひいた時、発熱した時には何を食べればよいか、反対に、これは食べない方が良いか、認識していただければ幸いです。

そのうえで、自分の子どもにあった食事を考えてあげると、食べやすく、病気の回復も早くなることでしょう。

風邪にかからないことも大事ですが、いざという時のために、準備しておくことも大切ですね。

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