骨を丈夫にするための5つの栄養素と逆にとってはいけない栄養素とは?

- yuzu.jiiya
保育園で勤務する管理栄養士です。主な投稿は、保育園での給食や気になる食のこと。スポーツ栄養は仕事じゃないけど、興味のある分野です。 #保育園栄養士 #管理栄養士 #調理師 #幼児食 #離乳食 #スポーツ栄養
健康的なでけがをしにく体づくりの基礎となる骨。
親としては子供の骨は丈夫になってもらいたいですよね?
子どもの骨を丈夫にするための食事についてご紹介します。
骨を丈夫するための5つの栄養素と多く含んだ食材
数ある栄養素の中で、どの栄養素が骨を丈夫にしてくれるのでしょうか。
1つの栄養素を摂取するだけではなく、複数の栄養素をバランスよく摂取することが、カギを握っています。
下記に紹介する栄養素と多く含んだ食材をご紹介するのでレシピを考える際の参考にしてみてください。
※なお、目安量については各栄養素の必要量は「日本人の食事摂取基準(2015年版)」を参照しております。
カルシウム
カルシウムは骨を形成する中心的な成分で、体内のカルシウムの99%が骨や歯に存在します。
神経やホルモンの働きにもカルシウムは関係しており、カルシウム不足になると、体内では神経やホルモンの働きが優先されるため、骨を溶かして血液に流れ出てしまい、結果、骨がもろくなってしまうため、
汗や尿中にも排出されるので、夏場のカルシウム不足には十分注意が必要です。
カルシウムの1日の目安量
男性 | 女性 | |
1-2歳 | 450 | 400 |
3-5歳 | 600 | 550 |
6-7歳 | 600 | 550 |
8-9歳 | 650 | 750 |
10-11歳 | 700 | 750 |
(単位:mg/日)
カルシウムを多く含んだ食材
1回あたりの使用目安量 | 量(mg) | |
牛乳 | 200ml(コップ1杯) | 220 |
プロセスチーズ | 25g(1切) | 158 |
木綿豆腐 | 150g(1/2丁) | 129 |
ひじき | 10g(1皿) | 100 |
小松菜 | 95g(1/4束) | 162 |
カルシウムは、食材によって吸収率が違うためバランスよく摂取することが大切です。
吸収率は、乳製品>小魚・海藻類>大豆製品≧野菜
となっていますが、どの食材もビタミンやミネラルと一緒に摂取できるのであなどれません。
ビタミンD
- 腸からのカルシウム吸収を促進し、血液に入ったカルシウムを骨まで運ぶ
- 骨をつくる骨芽細胞の働きを促進し、骨の形成を助ける
食材からはもちろん、おもしろいことに日光を浴びると体内でも生成されるのも特徴です。
ですので、日中はしっかりと日の光を浴びましょう。
ビタミンDの1日の目安量
男性 | 女性 | |
1-2歳 | 2.0 | 2.0 |
3-5歳 | 2.5 | 2.5 |
6-7歳 | 3.0 | 3.0 |
8-9歳 | 3.5 | 3.5 |
10-11歳 | 4.5 | 4.5 |
(単位:μg/日)
ビタミンDを多く含んだ食材
1回あたりの使用目安量 | 量(mg) | |
鮭 | 80g(1切) | 25.6 |
いわし丸干し | 30g(1尾) | 15.0 |
秋刀魚 | 100g(1尾) | 14.9 |
きくらげ(乾燥品) | 2g(2枚) | 1.7 |
干ししいたけ | 6g(2個) | 0.8 |
その他、しらす干し、鰤、鰈などにも多く含まれ、卵にも(1個50gあたり3.0µg)含まれています。
魚の缶詰を利用すると、カルシウムも一緒に摂取でき一石二鳥です。
ビタミンK
- 骨にカルシウムを沈着させるために必要なたんぱく質を活性化させる
- カルシウムが尿中に排出されるのを抑え、骨の破壊を防ぐ
上記以外にも血液を固める作用もあるので、出血でのカルシウム流出を防ぐことにもなりますね。
ビタミンKの1日の目安量
男性 | 女性 | |
1-2歳 | 60 | 60 |
3-5歳 | 70 | 70 |
6-7歳 | 85 | 85 |
8-9歳 | 100 | 100 |
10-11歳 | 120 | 120 |
(単位:μg/日)
ビタミンKを多く含んだ食材
1回あたりの使用目安量 | 量(mg) | |
納豆 | 50g(1パック) | 300 |
小松菜 | 95g(1/4束) | 200 |
ほうれん草 | 60g(1/4束) | 162 |
ブロッコリー | 60g(1/4束) | 96 |
鶏肉(皮付き) | 120g(1/2枚) | 35 |
納豆、小松菜、モロヘイヤは、カルシウムもビタミンKも多く含む食材です。大根や蕪の葉、ニラ、キャベツ、海藻類にも多く含みます。
マグネシウム
- 骨を形成する骨芽細胞に働きかけ、骨の中に入るカルシウムの量を調節する
マグネシウムが不足すると、カルシウムが骨形成の役割を果たせません。
カルシウムと合わせてバランスよく摂取する必要があります。
マグネシウムの1日の推奨摂取量
男性 | 女性 | |
1-2歳 | 70 | 70 |
3-5歳 | 100 | 100 |
6-7歳 | 130 | 130 |
8-9歳 | 170 | 160 |
10-11歳 | 210 | 220 |
(単位:mg/日)
マグネシウムを多く含んだ食材
1回あたりの使用目安量 | 量(mg) | |
金目鯛 | 100g(1切) | 73 |
ほうれん草 | 100g(1/2束) | 69 |
玄米ご飯 | 120g(茶碗軽く1杯) | 59 |
納豆 | 50g(1パック) | 50 |
ゆで大豆 | 50g | 55 |
大豆製品のきな粉や油揚げ、ごまやアーモンドなどの種実種、海藻類にも多く含まれます。
カルシウムとマグネシウムは2:1の割合で摂取することが望ましいとされています。
カルシウムだけを多く摂取しても、マグネシウムとのバランスが悪いと摂取した意味がなくなってしまうので気を付けましょう。
タンパク質
骨は、コラーゲンが網目状にはりめぐり、そこにカルシウムが付着して出来上がっています。
コラーゲンはたんぱく質の一種で骨の体積の約半分を占めているため、骨の強化にはタンパク質もバランスよく摂取する必要があるのです。
タンパク質の1日の推奨摂取量
男性 | 女性 | |
1-2歳 | 20 | 20 |
3-5歳 | 25 | 25 |
6-7歳 | 35 | 30 |
8-9歳 | 40 | 40 |
10-11歳 | 50 | 50 |
(単位:g/日)
タンパク質を多く含んだ食材
1回あたりの使用目安量 | 量(mg) | |
牛乳 | 200ml(コップ1杯) | 6.6 |
木綿豆腐 | 150g(1/2丁) | 9.9 |
鮭 | 80g(1切) | 18.0 |
納豆 | 50g(1パック) | 12.4 |
鶏肉(皮付き) | 120g(1/2枚) | 20.8 |
これまでに登場した食材のたんぱく質を紹介しました。
肉・魚・乳製品・大豆製品・卵が摂取源になりますが、ご飯(茶碗1杯150gに3.8g)やパン(6枚切り2枚に11.2g)にもたんぱく質は多く含まれています。
リンはカルシウムの吸収を阻害するため要注意
骨を丈夫にする栄養素を紹介しましたが、反対にカルシウムの吸収を妨げる「リン」という栄養素があります。
リンはカルシウムと仲良しですぐにくっついてしまいます。腸の中でくっついてしまうと、カルシウムが体の中に吸収されず、便と共に排出されてしまいます。
カルシウムとリンは0.5:1~2の範囲で摂取することが望ましいのです。
リンは清涼飲料水やお菓子に多く含まれるため、食べ過ぎや飲み過ぎは注意しましょう。
カルシウムの吸収をよくする2つのポイント
骨を丈夫にするための栄養素とその栄養を多く配合した食べ物についてご紹介しました。
しかし、ただ闇雲に食べればいいという訳ではありません。
骨を丈夫にする土台となる成分や組み合わせにより吸収率が違うため、2つのポイントをご紹介します。
カルシウムの多い食品を積極的に取り入れる
カルシウムの吸収率について、先ほど紹介しましたが、さらに詳しくみてみると
乳製品50% > 小魚・海藻類30% > 大豆製品≧野菜20%
と言われております。
食べた分がすべて吸収されるわけではないので、まず第一にカルシウムの量をしっかりと取るようにしましょう。
他の栄養素との組み合わせを考える
カルシウムの吸収は他の栄養素と深く関係しています。
特に、リンを取り過ぎるとカルシウムの吸収を阻害しますので、十分に気を付けましょう。
反対に、マグネシウムやビタミンDはカルシウムの吸収をよくする働きがあるので、一緒に摂取しましょう。
骨を丈夫にするための簡単レシピ
乳製品は調理いらずで食べることができ、カルシウムの摂取源になるので、朝ごはんやおやつ、お風呂上りに飲む、食べるなご意識して取り入れましょう。
牛乳が苦手でも、バナナを入れたミックスジュースにしたり、ココアを溶かして少し甘くすると飲めることもあるので是非試してください。
子どもが苦手な食材に多く栄養素が含まれていることが多いので、そのような場合は好きなものと一緒に組み合わせちゃいましょう。
小松菜しらすチャーハン 2人分
ビタミンDもしっかり取れるメインのレシピです。
- ご飯・・・350g(お米1合分)
- 小松菜・・・1/4束
- ちりめんじゃこ・・・50g
- 白ごま・・・大さじ2
- 卵・・・1個
- 小松菜はみじん切りにする。
- フライパンに油をひき、小松菜を炒め、火が通ったら、じゃことごまも炒める。
- 卵を割ってほぐし、②のフライパンに入れたら、すぐに、ご飯も入れて炒める。
- 塩、こしょう、しょうゆで味付けしたら完成です。
鮭のホイルチーズ焼き 2人分
案外納豆好きな子どもは多い・・・はず。
具だくさんなので、納豆だけ食べるより食べやすいでしょう。
- 鮭・・・2切れ
- お好みのきのこ・・・100g
- ピザ用チーズ・・・60g
- 塩、こしょう
- お好みのきのこを小房にわけておく。もちろん、玉葱や人参や好きな具を入れてもOKです。
- 長めに切ったアルミホイルに塩コショウを振り、鮭を並べ、①のきのこをのせ、塩コショウを振る。
- その上にチーズをのせ、アルミホイルで包み込むように閉じる。これを二つ作る。
- フライパンに少量の水を入れ、火にかけ、沸騰したら中火にして、③を並べて入れ、フタをして15分程蒸したら出来上がり。
納豆汁 2人分
- 納豆・・・1パック
- 油揚げ・・・1/2枚
- こんにゃく・・・1/4枚
- 木綿豆腐・・・1/4丁
- 人参・・・1/5本
- 大根・・・1㎝
- 青ねぎ・・・1本
- 出し汁・・・400ml
- 合わせ味噌・・・大さじ1.5
- 油揚げは油抜きをして薄切り、こんにゃくは食べやすい大きさに切って下茹でする。
- 人参、大根はいちょう切り、豆腐もサイコロ状にしておく。
- だし汁で、人参、大根、こんにゃくを煮込み、油揚げ、豆腐も入れひと煮立ちさせる。
- 納豆と味噌を入れ、沸騰直前で火をとめる。器に盛り、ねぎを散らせば完成。
食事以外でも気をつけるべきこと
骨を丈夫にするには、栄養のほかに運動が必要となってきます。骨に負荷をかけると骨をつくる細胞が活発になるからです。
飛んだり跳ねたり、公園の遊具を使い、走り回るような遊びや、全身運動にもなる水泳はおすすめですね。
一点に集中する筋力トレーニングを小さい頃から行うのはあまり望ましくありません。翌日にも疲れが残る無理な運動も逆効果です。
食事と運動。規則正しい生活を心がけて骨を丈夫にしましょう
しっかり食べたつもりでも、吸収できなかったり、体外に流出したりと、摂取が難しいカルシウムですが、毎日食べる食材に含まれているので、たくさんの量を食べるようにしましょう。
また、食事+運動で骨が強くなりますので、元気に外で遊ぶこともこころがけてください。
日本人の食生活には、昔から、大豆製品、魚、緑黄色野菜がたくさん登場しますし、プラス乳製品を食べれば、鬼に金棒でカルシウムを摂取でき骨を丈夫にすることができますね!
おやつの時間を甘い食べ物ばかりにするのではなく、小魚やチーズも合わせて食べましょう。