子供のバランスのいい食事は「食事バランスガイド」を参考に!
- yuzu.jiiya
保育園で勤務する管理栄養士です。主な投稿は、保育園での給食や気になる食のこと。スポーツ栄養は仕事じゃないけど、興味のある分野です。 #保育園栄養士 #管理栄養士 #調理師 #幼児食 #離乳食 #スポーツ栄養
子供にはバランスのいい食事を食べてもらいたい! と思っても、「そもそもバランスのいい食事ってなに?」と疑問に思う方もいるかと思います。
実は、農林水産省がバランスのいい食事の定義として食事バランスガイドというものを作成しているんですね。
しかし、内容を見てみると少しわかりにくかったので、このページでは食事バランスガイドをよりわかりやすく説明しながら、食事バランスガイドを使った具体的なレシピや食べる量を解説してみます。
食事バランスガイドとは何をどれだけ食べたらよいかをわかりやすくまとめたもの
食事バランスガイドとは、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかをコマのイラストで示したものです。
コマをイメージしたイラストで、食事バランスが悪くなると倒れてしまうことを表現しています。
「コマが回転する=運動する」 ことによって安定することを表現しており、健康づくりには、食事と運動の両方が大切であるというメッセージが込められています。
水・お茶といった水分は食事の中でかかせないものであり、十分量をとる必要があることから、コマの軸として表現しています。
菓子・嗜好飲料は食生活の中で楽しみとしてとらえられ、「楽しく適度に」というメッセージと共に、コマのヒモとして表現しています。
食事バランスガイドの見方
この食事バランスガイドは、毎日の食事を下記5つに区分し、区分ごとに「つ(SV)」という独自の単位を用いて表します。
- 主食
- 副菜
- 主菜
- 牛乳・乳製品
- 果物
この「つ(SV)」という単位が食事バランスガイドの1番の特徴です。
普通、食事の栄養を考える時は、「ご飯をどれだけ食べたら、○カロリーで、お肉を食べたらたんぱく質が△グラム取れて・・・」というように、細かい数字で計算しますよね?
食事バランスガイドでは、主食は炭水化物約40g含まれるものを1つと考えるため、「ご飯1杯=おにぎり1個=食パン1枚=ロールパン2個」というように多少の大きさの違いはありますが同じグループとして考えます。
ちなみに、主菜ではたんぱく質約6g含まれるものを”1つ分”と考えますので、下記は同じグループとなります。
- 1つ分
- 冷奴/納豆/目玉焼き
- 2つ分
- 焼き魚/魚の天ぷら/まぐろとイカの刺身
焼き魚にしろ、魚の天ぷらにしろ、お店によって売っている大きさは違いますが、食材が○グラムだからと考えるのではなく、多少の違いは気にせず、1つの料理として捉えて考えようというわけですね!
それぞれの量を細かく計算をしなくてもいいように、1つ分ならこれくらい、2つ分ならこれくらいと、わかりやすいようにイラストで示されています。
そのため、実際に私が栄養指導する時に、「1回の食事のカロリーを□カロリー、たんぱく質を○グラムとるために、魚を△グラム、野菜を△グラム食べましょう」と指導をするのではなく、「主菜から2つ、副菜から1つ選んで食べましょう。すると、バランスが整いますよ、主菜の量は表を参考にしてくださいね!」という風に分かりやすく、指導ができるんです。
食事バランスガイドの計算方法
食事バランスガイドの独自単位である「つ(SV)」という単位についてはわかりましたね!
では次にこれらの計算方法について詳しく説明していきましょう。
主食の計算方法
主食は主に炭水化物の供給源であるごはん、パン、麺、パスタなどを主材料とする料理が含まれます。
1つ(SV)分を、主材料に由来する炭水化物約40gとして計算します。
- 1つ分
- ご飯小盛1杯/おにぎり1こ/食パン1枚/ロールパン2個
- 1.5つ分
- ご飯中盛1杯
- 2つ分
- うどん1杯/もりそば1杯 /スパゲティ1人前
副菜の計算方法
副菜は主にビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源である野菜、いも、豆類(大豆を除く)、きのこ、海藻などを主材料とする料理が含まれます。
1つ(SV)を主材料の重量約70gとして計算します。
- 1つ分
- 野菜サラダ/胡瓜の酢の物/具だくさん味噌汁/ほうれん草のお浸し/ひじきの煮物/煮豆/きのこのソテー
- 2つ分
- 野菜の煮物/野菜炒め/芋の煮っころがし
主菜の計算方法
主菜は主にたんぱく質の供給源である肉、魚、卵、大豆および大豆製品などを主材料とする料理が含まれます。
1つ(SV)を、主材料に由来するたんぱく質約6gとして計算します。
- 1つ分
- 冷ややっこ/納豆/目玉焼き1個
- 2つ分
- 焼き魚/魚の天ぷら/まぐろとイカの刺身
- 3つ分
- ハンバーグステーキ/豚肉の生姜焼き/鶏肉のから揚げ
牛乳・乳製品の計算方法
牛乳・乳製品は主にカルシウムの供給源である、牛乳、ヨーグルト、チーズなどが含まれます。
1つ(SV)を、主材料に由来するカルシウム約100mgとして計算します。
- 1つ分
- 牛乳コップ半分/チーズ1かけ/スライスチーズ1枚/ヨーグルト1パック
- 2つ分
- 牛乳瓶1本
果物の計算方法
果物は主にビタミンC、カリウムなどの供給源である、りんご、みかんなどの果実及びすいか、いちごなどの果実的な野菜が含まれます。
1つ(SV)を、主材料の重量約100gとして計算します。
- 1つ分
- みかん1個/りんご半分/かき1/梨半分/ぶどう半房/もも1個
複数の食材を使った料理の計算方法
カレーライスのように、1品で、ご飯も野菜もお肉もいろいろな食材が食べられる料理もありますよね。
そのような料理も基本は同じで、それぞれおもな食材について料理グループや量を「つ」の考え方に当てはめてみましょう。
カレーライスの材料を、ごはん、にんじん、じゃがいも、たまねぎ、お肉としした場合下記のようになります。
- カレーの計算方法
- 主食2つ:ごはんは大盛りのため 副菜2つ:にんじん、じゃがいも、たまねぎの量は小鉢2皿くらいのため 主菜2つ:お肉の量は1人前のお肉料理よりは少し少な目のため
このようにして、このカレーライスは主食2つ、副菜2つ、主菜2つ、と数えます。
では、実際にこの食事バランスガイドを使った食事量はどれくらいになるのか?次に子供の1日の最適な食事量についてご紹介します。
食事バランスガイドから考える年長と小学生の適正な1日の食事量
子供でも幼児と小学生では必要な食事量が違います。
そこで、年齢、性別によって食事の必要量の違いについてまとまった画像があったので、イラストを元にご紹介します。
1日に2200±200kcal(基本形)が基本形として想定されており、これは、10-11歳の男の子の食べる量の目安になります
基本形を元に6-9歳の男の子、6-11歳の女の子の目安となる1400-2000kcalではどのような食事パターンに変形すればよいか考えてみます。
10-11歳の男の子の食べる量の目安
1日の目安となる食事量は。下記の通りです。
- 主食・・・5-7つ
- 副菜・・・5-6つ
- 主菜・・・3-5つ
- 牛乳乳製品・・・2-3つ
- 果物・・・2つ
これを、一日に割り振り分けて献立を作成するとこのようになります。
- 朝食>ロールパン2個(主食=1つ)、野菜スープ1杯(副菜=1つ)、目玉焼き1個(主菜=1つ)、ヨーグルト1個(牛乳・乳製品=1つ)、りんご1/2個(果物=1つ)
- 昼食>カレーライス(主食=2つ、副菜=2つ、主菜=2つ)、レタスサラダ(副菜=1つ)、牛乳1本(牛乳・乳製品=2つ)、みかん1個(果物=1つ)
- 夕食>ご飯大盛り1杯(主食=2つ)、ほうれん草のお浸し(副菜=1つ)、ハンバーグ1/2人前(主菜=1.5つ)、みそ汁(副菜=1つ)
朝に食べようと思っていたけど思うように食べられなかった場合は、昼や夜の食事で補うことができます。
もし、朝に時間がなく、ヨーグルトを食べられなかったという時は、おやつに食べても、夕食に食べても構いません。そうして、一日のバランスを調整していくことが重要です。
また、主食は体に合わせて、ご飯の量を増やしてもよいでしょう。
6-9歳の男の子、6-11歳の女の子の食べる量の目安
上の食事を基本に、6-9歳の男の子、6-11歳の女の子の目安となる1400-2000kcalの食事を考えてみましょう。
1日の目安となる食事量は。下記の通りです。
- 主食・・・4-5つ
- 副菜・・・5-6つ
- 主菜・・・3-4つ
- 牛乳乳製品・・・2-3つ
- 果物・・・2つ
目安となるカロリーが少ないため、主食と主菜の量が減りましたね。
副菜、牛乳・乳製品、果物はビタミン・ミネラルの補給にもなるため、しっかり食べましょう。
6-9歳の男の子、6-11歳の女の子も一日に割り振り分けて献立を作成するとこのようになります。
- 朝食>ロールパン2個(主食=1つ)、野菜スープ1杯(副菜=1つ)、目玉焼き1個(主菜=1つ)、ヨーグルト1個(牛乳・乳製品=1つ)、りんご1/2個(果物=1つ)
- 昼食>カレーライス(主食=1.5つ、副菜=2つ、主菜=1.5つ)、レタスサラダ(副菜=1つ)、牛乳1本(牛乳・乳製品=2つ)、みかん1個(果物=1つ)
- 夕食>ご飯中盛り1杯(主食=1.5つ)、ほうれん草のお浸し(副菜=1つ)、ハンバーグ1/2人前(主菜=1.5つ)、みそ汁(副菜=1つ)
10-11歳の男の子と6-9歳の男の子、6-11歳の女の子の1日の献立の違い
朝食は変更なし。
昼食はカレーライスの量を少なくしました。主食が2つ⇒1.5つ、主菜が2つ⇒1.5つに変更です。
夕食の主食もご飯大盛り⇒中盛りに変更することで、2つ⇒1.5つになりました。
このように年齢や性別によって食べる量は変わってきます。
一回の食事にしっかりとした量を食べることができれば良いのですが、小さい子どもだと食べきれない場合があります。
そんな時は、食事を主食を減らし、おやつにおにぎりを食べるとよいでしょう。これで、一日のバランスが整います
また、成長とともに食べるようが増えない場合は、食器を買い換えるなどして見せ方を変え食べる量を少しづつ増やしてあげる工夫をしてあげてもよいでしょう!
子供はバランスのいい食事が大切な理由
いかがでしたか?
子ども達は体も心も成長段階です。子どもの頃の食事の役割は体の成長に大きく結びついています。
ただ食べるだけではなく、どのように食べればよいか、何を食べればよいか、子ども達自ら考えて選べるようになってほしいものです。
ご飯だけ食べても、体が大きくなるわけではなく、お肉だけ食べても筋肉がつくわけではありません。
体のエネルギーになるそれらに代謝を助けるビタミン、ミネラルが必要ですし、脂肪も体に必要な栄養素です。
バランスよく食べること=偏りなく食べることです。コマのバランスを崩さず、しっかりまわせる食事を心掛けましょう。